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「俺、顔射すんの…好きなんだわ……自分のものって感じがしてさ」
“ぷちっ”
頭の中で、我慢の糸が切れた。
「顔射したいだぁぁ?ヘタクソの分際で不相応な夢見てんじゃねえよ!」
ズルリとうしろの男の超お粗末な肉棒を抜き、膝で止まっている下着とズボンをするりと履く。
「これ以上サカリたいなら、もっとお安いガバガバ女にでも頼むんだな」
呆気にとられている男のだらしなく下げられたズボンのポケットから素早く財布を抜き、中から一万円札を抜いた。
「労働費な」
「なっ……ちょ…」
「言っただろ?俺は『お安くない』ってな。『イカせられたら、タダにしてやる』って。萎えちまったわ……まあ、せっかくの祭りだし、これでも安くしてやったんだぜ」
男は自分のパンツを履くより早く、怒りに任せて見苦しいものを股間で揺らせ突進してきた。
が……
それより早く、俺の足がヒット!
「じゃあな。不能になったかもな。あはははは……」
指に挟んだ一万円札をはためかせ、股間を押さえうずくまる男を見下ろすと、俺は祭りのクライマックスである花火の下へと歩いて行った。
轟音とともに、辺りの色が変わる。
『むなしい……』
心の奥底で小さな声が聞こえた。
「ホント……毎度毎度、何やってんだよ、俺…」
力を入れていた指を緩めた。
一万円札は、さっきから吹いている風に飛ばされた気がする。
いつから、俺は背中を預ける男を探すようになったんだろ?
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