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あれは小学生の頃―――
学校から下校が遅れた俺は、背後から来た何かに追われていた。
必死に逃げて逃げて、でもあっさり捕まったんだ。
軽々と押し倒され、そのまま口を手で押さえつけ、喉元に牙をたてられた。
『食べられちゃう……誰か、助けて…』
目を閉じ、必死に助けを求めた。
その時、誰かがやって来て退治してくれた。
「大丈夫か?平気か?」
誰かは俺を抱き起こし、ふらつく俺を自分の胸にもたれさせ体で支えてくれた。
「痛いところはないか?」
「ひぐっ……こわ…かた……恐かった…」
その誰かは俺の頭を優しく撫で『もう大丈夫だ』と言った。
「さあ、後ろを振り返らないでこのまま真っ直ぐ行くんだ」
「一人で?嫌……恐い…」
「平気だ。ここで悪いヤツがもう来ないか見ててやるから。来たらやっつけてやる。だから帰るんだ。前だけ向いてな」
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