◆・うしろの……・◆

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あれは小学生の頃――― 学校から下校が遅れた俺は、背後から来た何かに追われていた。 必死に逃げて逃げて、でもあっさり捕まったんだ。 軽々と押し倒され、そのまま口を手で押さえつけ、喉元に牙をたてられた。 『食べられちゃう……誰か、助けて…』 目を閉じ、必死に助けを求めた。 その時、誰かがやって来て退治してくれた。 「大丈夫か?平気か?」 誰かは俺を抱き起こし、ふらつく俺を自分の胸にもたれさせ体で支えてくれた。 「痛いところはないか?」 「ひぐっ……こわ…かた……恐かった…」 その誰かは俺の頭を優しく撫で『もう大丈夫だ』と言った。 「さあ、後ろを振り返らないでこのまま真っ直ぐ行くんだ」 「一人で?嫌……恐い…」 「平気だ。ここで悪いヤツがもう来ないか見ててやるから。来たらやっつけてやる。だから帰るんだ。前だけ向いてな」
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