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あの時の叫び声は、あの男の断末魔……
「あいつのさ……少しは美味しいとこ、食べた?」
「タバコと妙な薬臭くて、食いたいとこなんてなかったな」
紅丸の爪が伸び、俺の服を切り裂いた。
「じゃあさ、少なくとも俺にはある?紅丸が食べたいとこ……」
俺を見つめ、紅丸は首をかしげる。
「何故死にたがる?」
「紅丸が言ったんだよ。だから俺は、そうなることを望んでたんだ。忘れてしまっていてもね」
「ほう……覚えていたか?」
俺はコクリと頷く。
「『……ああ……いつかな。きっとおまえを……喰らいに行くからな』だったよね。俺、クスリだってやってないし、タバコも吸ってない。ヤル時はちゃんとゴムだって着けてたよ」
切り刻まれた衣服の残りを剥ぎ取り、俺は靴以外何も身に付けていない姿になった。
「どう?喰らいたくない?」
こんなだってのに、俺の身体は内からの悦びに溢れているらしく、見られているだけでイケそうなほどだ。
「ああ……美味そうだな」
紅丸は舌舐めずりをし、その長い爪を俺の胸へと立てる。
「胸から腹へ切り裂いて、血の滴った心臓にレバーに……くすくす……さあ…俺をたっぷり……召し上がれ……」
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