◆・うしろの……・◆

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「愚か者……俺が気づかぬと思ったか?」 紅丸は俺の肩を掴み引き寄せた。 「いつでも喰らうてやろう……遥の命が尽きる時な…」 「紅丸……」 「確率が低くとも、病を治せ。俺が付いててやる」 俺の身体が震える。 「気づい……てたんだ」 「精一杯生きろ……そんな遥を俺は気に入った」 涙がボロボロと溢れる。 「俺には病の元を絶つことはできない。だが、遥の命が尽きる時まで、一緒にいてやる」 「進めば、食べるところが無くなるよ。今なら……」 「鬼が喰らうのは、身体だけではない。遥は鬼の俺に、普通の人間として送るはずだった時間を喰らわれるんだ。俺からは逃げられないからな……」 「鬼のくせに……バカだ…」 顔を覆う俺の頭に大きな手がのせられる。 「鬼との時間は生き地獄だ。覚悟しろ」 「俺にとって、天国以上の地獄だよ」 そうだ、生きてやる。 あとどれだけかわからないけど、 「俺の時間、しっかり喰らえよ」 俺は紅丸の胸へともたれかかった。 ああ、あの時と一緒だ…… 生きていける気がする。 □おわりんご□
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