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俺より頭悪いくせに、こういう所だけは勘が働くと言うか脳味噌が良く働くと言うか……。いや、唯、面白がっているだけか? しかし、謙斗に話すつもり無かったのにこんな事になるとは……
はぁぁ……と、深いため息を吐き手で顔を覆う。どんどん自分の顔が、熱くなっていくのが分かる。これじゃ、自分から比嘉華の事が好きだって言ったようなものじゃないか。
「告白するの? ここで?」
「……しねぇよ。ここでも、どこでも」
「え、何で」
「何でって……」
「知ってる? 比嘉華ちゃんって人気あるんだよ」
「……え」
俺の焦ったような顔を見て、謙斗はまた爆笑し始めた。
……こいつは。
「おい謙斗、馬鹿にしてんのか」
「ははっいやいやいや、馬鹿にはしてないさ、でも、人気があるのはホントだよ。可愛いって話、良く聞くよ」
「んー……そうかぁ……」
手すりに寄りかかりながら考える。確かに、比嘉華は可愛くない訳じゃない。目立つ事は、無いけども、可愛いと言われる理由も、俺自身良く分かる。
「告白した奴もいるらしいけど……」
「嘘……え、居るの」
「断ってるらしいよ、好きな人がいるって」
そうか、あいつ好きな奴いるのか。そりゃそうだよな、高校生なんだから……。
「告白……しないの?」
「……好きな奴には、勝てねぇよ」
ふぅんと言って謙斗は校舎内に帰っていこうとする。
……あれ、俺何のために謙斗を呼びだしたんだっけ?
「あ、そうだ、いいこと教えてやるよ」
飲み干したジュースを俺の方に向けて言ってきやがった。しかもニヤニヤと笑っていやがる。やっぱりこいつ、俺の事馬鹿にしてないか?
「……何だよ、良い事って」
「比嘉華ちゃんの、好きな人の、ヒント」
本人は教えてくれないのか……まぁ、ヒントを教えてもらえるだけラッキーなのか……? いや、でも、ヒントを教えてどうしろって言うんだ?
「その人ね、怖いけど可愛い名前なんだってさ」
その言葉を聞いた瞬間に、入学初日の日、比嘉華に言われた言葉を思い出した。
─怖い顔してるよ、せっかく可愛い名前なのに─
「……え?」
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