第1話 【転生】

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白い世界。俺はそこにいた。 なにもない、何も見えない、何も居ない。 そんな世界で確かに俺はいた。 「そうか、死んだか。」 ポツリ、と口に出した言葉。いや、口や手、足。身体もないのだから言葉には出していない。 心のなかで思っただけのその一言が、俺の胸の中を晴れやかにする。 「そうだね、君は死んだよ。」 俺の言葉ではない、誰かの声が俺に掛けられた。 「そう、君の最後、実に素晴らしかった。私は年甲斐もなく感動したよ。」 賞賛の言葉ではない。半分嘲るような声が、俺に響いた。 「君の思いは、届かなかったよ。【偽りの英雄】さん。」 チクリ、と胸を突くその言葉。解っていたはずなのに、心はどうしても痛む。 「だけどね、私は感動したものにはその対価を支払うべきだと思うんだ。」 その"声"が、ただ一人ボヤくように続ける。あぁ、もういい。楽にしてくれと、俺が思う中、その声は普段の俺ならば信じられないような言葉を発する。 その言葉が、俺に再び生気を宿らせるには十二分であった。 「君にもう一度チャンスをあげよう。復讐のチャンスだ。」 ドクン、と無い筈の心臓が跳ねた。
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