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『悪魔?弁当ばっかの隣人に親切に朝から作ってやったのに悪魔?
初対面のイブにパスタ作ってやったのに悪魔?
今こうして送ってやろうとしてるのに悪魔なんだ?』『降ります、頼んだわけじゃありません』
あたしはシートベルトを外すと悪魔は舌打ちし、左手を伸ばしシートベルトをする。
『間に合わないんでしょ!どこ?会社名に住所!』
携帯を見ると8:30、渋滞も考えると今送ってもらわないと間に合わない。
住所と会社名を告げると悪魔は少しずつ加速させ、知らない道を進んでく。
バス路線の国道ではない事に不安になり聞いてみた。『近くなったら主要道路に入るから良いのよ。
カーナビって近い距離ルートを出すから駅前周辺までの近道覚えてるわけ』
『あ…そういう事…』
『これなら間に合う?』『ありがとうございます』『引っ越して初めての出勤なんでしょ、昨日廊下で言ってたし。
【いつものバスに遅れちゃう】ってわからないわ』
『引っ越しした日に書類を取りに、何回か会社までバスに乗ってるから。
計算して8時18分と25分のどちらかに乗れば良いって…いつも使ってるような感覚が出ちゃったの』
『間に合わなかったら今みたいに送ってあげる』
『けっこうです』
『7つも年下のくせに甘えたらどうなの?
相川さんお願い、とか可愛く言っちゃうと弱いかも』『バスがあります』
悪魔は“仕方ねぇな”っていうようなため息をついた。
近道のおかげでどうやら間に合ったようだ。
会社の前でなく周辺でおろしてもらうつもりでいた。
『男の車で出勤って噂になるのが怖いから?』
悪魔はまたフッと笑って会社周辺で車を停めた。
『忘れてる、愛情弁当』
『あ、愛情弁当ぉ?』
『良いから行きなさい』
走っていく後ろ姿を見られているとは知らずに。
『舞、今日は弁当持参なんだ?早起きして?』
『あっこれはお母さんが』…**…**…**…
『嘘つき』
窓を開けて見ていた悪魔は意地悪く笑ってそう呟いた。
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