第1章・女?男?

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あさひコーポレーションは白を基調とした5階建てのビル。 男性は基本的に黒かグレーのスーツ。 女性も黒とグレーの制服で赤いリボン。 ハイヒールは冬場のブーツ時は会社に置いている。 『疲れた疲れたぁ~。 舞、ランチ買うから一緒しよ』 『ん…、あっ今日は…』 悪魔の愛情弁当なんて同僚で仲良しの優香の前でも気が引ける。 『都合悪いの?』 『あっ、ううん』 言いわけする程に見苦しいかもしれない。 赤いチェック柄に赤いランチボックス、おかずとご飯が分かれた2段。 社内の日替りランチを買ってきた優香は愛情弁当を見てプッと笑った。 『たこさんウインナー・玉子焼き・ほうれん草とベーコンの炒めもの・スパゲッティ・鮭の塩焼き。 《しっかり食べて大きくならなきゃダメよ(笑)》 ってメモ付き? 23にもなって何処を大きくしようって? あたしと変わらない身長と体重で人並みなのに。 おちゃめなお母さんだね』優香はクスクスまた笑ってほうれん草とベーコンの炒めものを一箸食べていた。『美味しい』 『そう?』 『そう?ってお母さんの味なんでしょ。 初めて食べるような口ぶりはおかしいわ』 『あっ…』 あたしは付けられていたメモをギュッと握りポケットにいれた。 あの悪魔! 変なメモなんか入れないでよっ。 けど優香の言うとおり弁当は美味しかった。 悪魔… 朝早く起きてコレを… いらないとか、ごめん。 『引っ越し先どう?荷物片付いた?』 『昨日何とかね』 おかげでかなりお疲れ気味、けど悪魔のお世話にはなりたくなかった。 『もう知り合い出来た?』『………』 『黙るなんて怪し~い。 隠し事するの?』 『あっいや』 『実際に行って確かめなきゃ、遊びに行って良い?』『あっダメダメ。 変な人うろついてるから』『うろたえる程に怪しい』 優香は勘が良いから悪魔の事もバレちゃうかもしれない。 この弁当の事も!
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