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半年前のクリスマス前、季節外れの時期にあたしはあのマンションに引っ越してきていた。
前のアパートで少し居づらくなっての引っ越しなの。OL生活も独り暮らしも落ち着いてきた23歳の冬。
家賃はアパートより少し高いけど防音設備も良いって事で即決しちゃった。
『良いよ、お母さん。
クリスマス前なのにあたしにかかりきりで。
お父さんも弟もお母さん居ないとろくな物食べてないわ、帰って良いから』
『何言ってんの。
部屋いっぱいの段ボール舞1人じゃお正月過ぎてもこのままよ』
………
お母さんの言う事は当たっていたみたいで、
家からの家事ヘルプに1日後に帰っていくお母さんを駅で見送ったあたし。
『さすがに疲れたぁ、引っ越し作業ってハンパない』駅構内を出て、手を上げてん~っ…と体の凝りをほぐしたあたし。
どこからかクスクスと笑い声がしてあたしは振り向いた。
『いったい何をやってきたの?って感じね(笑)。
人々が行き交う駅前で』
あたしは髪を腰まで伸ばし赤いコートを着た、知らない失礼な奴をシカトし近くのコンビニに入った。
街ガイドマップを取りかごに入れ、今夜の夕食を買って帰途につこうとバス停を探した。
お母さんを何で駅まで連れていったか?って。
行きはタクシーだったのよ。
『あのマンションのあるバス停は…えぇと』
中野公園前で降りてマンションに向けて歩きだす。
『どっちだっけ?』
『左よ』
『ありがとうございます…えっ!』
振り向くとあの失礼な奴がいた。
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