第1章・女?男?

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『あたし、ラフォーレ中野ってマンション名言ってないし』 『バスの中で【ラフォーレ中野は中野公園前のバス停】って言ってたわ』 『聞いてたの!?っていうか着いてこないでっ』 『何処に行こうが勝手じゃない』 『誰か、この人変しーー』 赤いコートはあたしの口をふさぎ肩に手を置いた。 『シッ!近所迷惑よっ』 赤いコートが言うようにマンションへ向かう道は住宅・公園、そして大きなスーパーがあるくらいだ。 夜10時に道ばたで声をはりあげてたら…悔しいけど赤いコートの言うとうりかもしれない。 『叫んだりしないから手を離して、そして着いてこないで』 『夜の女の1人歩きは危険よ』 赤いコートはあたしから離れ後ろから着いてくる。 着いてくる! あたしはクルッと後ろを向きまた声をあげた。 『着いてこないで!この変たーー』 『ずいぶんな言われよう』あたしが最後まで言わなかったのは、 赤いコートがあたしのケーキを取りスタスタと早足でマンションへと急いだから。 『あたしのケーキ!』 『クリスマスイブなのに彼と甘い夜には無縁なの? 1人で部屋でケーキなんだ?』 『返して』 あたしは赤いコートを追い、手にしているコンビニ弁当がガサガサと音をたてる。 赤いコートはマンションに入りエレベーターを待つ。『ケーキを置いてサッサッとマンションから出ていって!』 『出ていけるならね!』
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