第1章・女?男?

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『キスしようか?あたしが怖くなんかないんでしょ』『なっ!ファーストキスは好きな人としか…』 『ファースト…キ・スなんだ?あたしキス上手いのよ』 『か…帰って!帰ってください!』 赤いコートはあたしの両頬に手をかけ口を近づけ1㌢で止めた。 涙ぐむあたしを見てストップをかけたらしい。 頬にチュッと唇の感触を残し出ていった。 ホッとしたのかあたしはその場に座り込んだ。 キスか…。 ハッと我に返りコートのままだったと風呂に入った。脱衣室で部屋着を着ているとチャイムがなった。 だ、誰?もう遅い時間よ。だけど出なきゃ気になって眠れないかもしれない。 あたしは散らばった段ボールを避けながら玄関に向かった。 いたのは…赤いコート! 迷彩柄のトレーナーになっていて長い黒髪はうなじで結ばれている。 『赤いコート!』 『はぁっ?』 『あっ…だって初対面で名前なんか知らないし』 『相川克哉、あなたは?』『長谷川舞…』 『じゃあ舞でいっか。 ふーん…Bカップ、あたしの手にはもう少しってとこね』 あたしは両手をクロスさせ胸を隠した。 『今更遅い(笑) っていうか、有り合わせでしかないけどパスタ作ってきたから食べなさい』 『あ、ありがとうございます』 赤いコート…相川克哉はあたしにパスタの入った皿を2つ持たせ上がり込んだ。 帰ってください! と言葉にしかけたが、部屋に散らばった段ボールを隅に積み重ねてくれていて何も言えないまま。 悪い人じゃあないんだ?
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