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『キスしようか?あたしが怖くなんかないんでしょ』『なっ!ファーストキスは好きな人としか…』
『ファースト…キ・スなんだ?あたしキス上手いのよ』
『か…帰って!帰ってください!』
赤いコートはあたしの両頬に手をかけ口を近づけ1㌢で止めた。
涙ぐむあたしを見てストップをかけたらしい。
頬にチュッと唇の感触を残し出ていった。
ホッとしたのかあたしはその場に座り込んだ。
キスか…。
ハッと我に返りコートのままだったと風呂に入った。脱衣室で部屋着を着ているとチャイムがなった。
だ、誰?もう遅い時間よ。だけど出なきゃ気になって眠れないかもしれない。
あたしは散らばった段ボールを避けながら玄関に向かった。
いたのは…赤いコート!
迷彩柄のトレーナーになっていて長い黒髪はうなじで結ばれている。
『赤いコート!』
『はぁっ?』
『あっ…だって初対面で名前なんか知らないし』
『相川克哉、あなたは?』『長谷川舞…』
『じゃあ舞でいっか。
ふーん…Bカップ、あたしの手にはもう少しってとこね』
あたしは両手をクロスさせ胸を隠した。
『今更遅い(笑)
っていうか、有り合わせでしかないけどパスタ作ってきたから食べなさい』
『あ、ありがとうございます』
赤いコート…相川克哉はあたしにパスタの入った皿を2つ持たせ上がり込んだ。
帰ってください!
と言葉にしかけたが、部屋に散らばった段ボールを隅に積み重ねてくれていて何も言えないまま。
悪い人じゃあないんだ?
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