第1章

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そう思ったとき、 微かに猫の声が聞こえた気がした。 ……え?猫?なんで? 脳裏を、 最近聞いた猫惨殺の話がよぎる。 ……先生に知らせるべきだ。 そう思いつつ、 灯りが漏れている部屋へと一歩、 もう一歩と足が進む。 気付かれないように開けた ドアの中からは、 むっとした熱気と濃い鉄の臭い。 その臭いが血の臭いだと理解するまで 数秒の時間を要した。 「……なに、これ」   私の声に、 こちらに背を向けていた男が振り返る。 逆光になって顔がよく見えない。 「見つかっちゃたんだ」   聞き覚えのある声。 ……関谷くん、だ。
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