第1章

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隣の席の関谷くんは不思議な人だ。 最近、お母さんを亡くし、 お父さんは仕事が忙しい人なので、 おばあちゃんの家に引き取られて うちの高校に転校してきたらしい。 羨ましいくらいに 白くてつるんとした肌。 長い睫に切れ長の目。 真っ黒なさらさらの髪。 まるでお人形さんみたいで、 ほんとに 他の男子と一緒なのか疑いたくなる。 「葛木さん、ノート、半分持とうか?」 「えっ、あっ、ありがとう」   その日は日直で、 集めたノートを 職員室に持っていこうとすると、 関谷くんに声を掛けられた。 こんな風に話すのは初めてで、 ちょっと緊張。 白くてきれいな関谷くんの手が、 私の手からノートを取る。 なんかもう、それだけでドキドキする。
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