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「出かけるのか?」 昨日あんなに叩いても揺すっても起きなかったのに、 早朝、翼の持ち主は体を起こし俺に問いかけた。 セミはまだ鳴いていない。 そう言えば、あの時からあの鬱陶しい声を聞いていないことに気づいた。 「今日は大学の講義があるんだ」 「へー。つまらぬところに行くのだな。人間は余生も短いというのに。 暇潰しか?」 「…勉強だよ。決して暇つぶしではない」 「ほぉ」 興味ないだろ。 何だよ「ほぉ」なんて気の抜けた相槌は。 そう言えば元はフクロウだったんだっけ。 だからほぉ…なるほど、納得がいく。 そういえば今日翼の持ち主の瞳は黒い。 昨日の緑色はどこいった。 「外に出るならこれを持っていくといい。 きっといい暇つぶしになる」 反論しようとしたが、ぽいっと投げられたものをキャッチしようとしたせいで 反論できなかった。 話聞いてなかっただろ、お前。 手のひらに収まるほどの小さい玉が翼の持ち主の抛ったものだった。 大きなあくびをしてまた眠りに入ろうとしている翼の持ち主にこれは何だと、 聞いた。 応答なし。 寝るの早ぇ。3秒にも満たないぞ。 溜息をつくと、俺は家を出た。
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