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「漏れそうなんです! そこの信号を右に曲がったところにコンビニがありますから、早く!」
「あ、あぁ……」
不満気な顔をしながら運転手はハンドルを切った。
大きな巨体が右方向に曲がり、コンビニが目の前に……次の瞬間、大きなクラクションが響き渡った。
バスの乗員が一斉に背後を振り返る。
その視線たちの先では、トラックが信号を無視して暴走しているかのように縦横無尽に駆け回っている姿があった。
血の気が引く一方、やはりこれは予知夢だ、という事実が、表現しがたい感情を哲也の心の中に芽生えさせていた。
「ただいまー……」
甲子園出場が決まると同時に、交通事故に巻き込まれかける。そして、それらは全部予知夢のお蔭で――足りない頭脳をフル回転しながら自宅のドアを潜ると、パンッ、とクラッカーの音が哲也を出迎えた。
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