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「おめでとー!」 「おう」  美雪の言葉に力なく返事をする。リビングをちらりと見るとそこには勝ってきた寿司らしきものがテーブルに並べられていた。 「今日は思い切って寿司にしてしまいましたー!」と、母は満面の笑みだ。 「お父さんは仕事終わってないからもう少し遅くなるみたい。先に食べてていいって!」 「お、おう」  あまりのテンションの違いにたじろぐ哲也。 「ささ、座って座って」と母が促す。  点いていたテレビから、ニュースが流れる。 『埼玉県の甲子園出場校が決定しました。県立の三間商業高校です。同高校は、春夏を通して初の甲子園出場となり……』 「あ、ほら!」と母が指を差す。そんなもの言われなくてもわかってるよ、と空腹の腹に寿司を一貫、また一貫と掻き込んでいった。        ※  今日は残念だったけど、しょうがない。  夢は、明日来る人が、そうだったらいいな。  準備は万端――。        ※ 「……マジか」
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