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哲也はまた目を覚ました。今度は朝の八時。ちくたくと相変わらず規則的なリズムを刻む時計を余所に、哲也は興奮していた。
昨日から連続で見ている予知夢。今日見た夢も、おそらく予知夢だろう。
夢の内容は、〝誰だかわからない女子に告白される〟というものだった。
場所は近くの公園。シンボルとしてある花で装飾された大時計は、朝の八時一〇分を示していた。
これまで野球漬けの毎日で彼女という存在が幻であった哲也。
今日は、練習もない。千載一遇のチャンスだ、と意気揚々と服を着替え、多少の身だしなみをそろえてから家を飛び出した。
※
私は空を見上げていた。今日は晴れているものの、気温はそこまで高くない。
昨日の雨のお蔭だろうと予測したところで、向かいから頭を坊主にした高校生が走ってくる。間違いない。彼だ。
「こんにちは」
息を切らす彼に向かってそう呟く。
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