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「こ、こんちわ……」  たじろぐ男子生徒。昨日の試合の先発した人だ。確か、名前は……古市哲也。  私は、その男子生徒の耳元でこう囁いた。 「君、夢を見てここに来たんだよね?」        ※ 「ゆ、ゆめ?」  目の前にいるのは、まさに美女だった。  そう。それは、大人な雰囲気を出す彼女の口から出てきた、夢の中で見た光景と全く同じ。 「そう。夢。見てるはずだよ? 自分が満塁で打たれる場面も、トラックに轢かれそうになる場面も……」 「えっ!?」  まさに、その通り。自分に起きた不思議な体験を全て言い当てるこの美女。何者なんだ、と疑う反面、心が躍り始める。 「実はそれ、多分私のせいだと思うの」 「へ?」間の抜けた返事を返す哲也。続けて「ど、どういうことっすか!?」と訊く。  何から説明したらいいかな……と眉をひそめる彼女。 「君は、もし私が神さまと同じ力を持ってる、って言ったら信じる?」
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