17/23
前へ
/23ページ
次へ
「それで、昨日の試合、私は逆転サヨナラ満塁ホームランで試合が終わるって予定を立てたの。だけど、そんなことにはならなかった」 「あ、それ、俺が夢で見たやつです」とようやくまともに話す。 「投げると打たれたって話を友達にしたら、それとは違う球で勝負することになって……」 「やっぱしそうなんだ……たぶん、私が力を使うとき、君が寝ていると君の頭の中に〝夢〟として流れ込んじゃうみたいだね。今日も、ここで私が告白するって予定立てたから」 「はあ……」 「あ、自己紹介まだだったね。私は武富さくら。高三です。よろしく、哲也くん?」 「え? なんで俺の名前?」 「昨日の試合、見てたから。かっこよかったよ」 とだけ言うと、武富さくらと名乗った彼女は、満面の笑みでこう言った。 「さて、本題に入ろっか」 「本題、ですか?」 「そ、本題」と笑うと、さくらは指を一本、人差し指だけ立てた。 「ねえ、私と賭けをしない?」 「賭け?」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加