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「それで、昨日の試合、私は逆転サヨナラ満塁ホームランで試合が終わるって予定を立てたの。だけど、そんなことにはならなかった」
「あ、それ、俺が夢で見たやつです」とようやくまともに話す。
「投げると打たれたって話を友達にしたら、それとは違う球で勝負することになって……」
「やっぱしそうなんだ……たぶん、私が力を使うとき、君が寝ていると君の頭の中に〝夢〟として流れ込んじゃうみたいだね。今日も、ここで私が告白するって予定立てたから」
「はあ……」
「あ、自己紹介まだだったね。私は武富さくら。高三です。よろしく、哲也くん?」
「え? なんで俺の名前?」
「昨日の試合、見てたから。かっこよかったよ」
とだけ言うと、武富さくらと名乗った彼女は、満面の笑みでこう言った。
「さて、本題に入ろっか」
「本題、ですか?」
「そ、本題」と笑うと、さくらは指を一本、人差し指だけ立てた。
「ねえ、私と賭けをしない?」
「賭け?」
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