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「わかりました」
それにもかかわらず、あっさりと哲也の口から答えは出た。
「……私が言うのもあれだけど、怖くないの?」
「怖いですけど、それぐらいの気持ちでやらないと、甲子園優勝なんてできませんから!」
そこまでいうと、哲也は一つだけ礼をしてその場を立ち去った。こうしてはいられない。
もう願い事は決まった。あとは、勝つだけ。いてもたってもいられず、無性にボールを投げたくなった。
※
思った以上に食いついてくれたみたい。楽しみだな。
※
上から、灼熱の太陽が笑っている。額の汗を拭って、笑って、哲也は淳のミットめがけてボールを投げ込んだ。金属音が鳴り、内野の間を抜ける。ヒットだ。
全く県予選の決勝と同じシチュエーション。
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