19/23
前へ
/23ページ
次へ
「わかりました」  それにもかかわらず、あっさりと哲也の口から答えは出た。 「……私が言うのもあれだけど、怖くないの?」 「怖いですけど、それぐらいの気持ちでやらないと、甲子園優勝なんてできませんから!」  そこまでいうと、哲也は一つだけ礼をしてその場を立ち去った。こうしてはいられない。  もう願い事は決まった。あとは、勝つだけ。いてもたってもいられず、無性にボールを投げたくなった。        ※  思った以上に食いついてくれたみたい。楽しみだな。        ※  上から、灼熱の太陽が笑っている。額の汗を拭って、笑って、哲也は淳のミットめがけてボールを投げ込んだ。金属音が鳴り、内野の間を抜ける。ヒットだ。  全く県予選の決勝と同じシチュエーション。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加