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「夢、か……」 「夢?」 「ああ、そ。夢。気にすんなよ。ベッドから落ちただけだし」 「ならいいんだけど……じゃあ、明日の決勝戦がんばってね! 応援行くから、負けないでよ!」  口をとがらせながらそう言いきると、美雪は大きなあくびをしながら自分の部屋へと帰って行った。  縁起の悪い夢、と哲也は呟いた。  明日は高校野球の埼玉県予選の決勝。勝てば甲子園が決まる大一番。三年の先輩が怪我をして、その代わりとして明日の試合に投げることが決まっていた。  緊張してんのかな……。嫌な予感が脳裏を過るも、明日に備えなければ、とまた眠りについた。        ※  いつも通りあたりさわりなく、今日も終わった。二羽の鳥がかわいそうだったけれど、しょうがないよね。邪魔だったし。  だけど、今日で確信に変わった。  やっぱし、私は超能力者だ。       ※ 「なんだそれ、アホらし」  哲也が言い切ると、友人の赤石淳(あかいしじゅん)が間の抜けた返事を返す。無理もない。突然友人の夢の中の話を聞かされたら、誰だってそんな反応になる。  哲也はため息を一つ吐いて「だよなぁ」と力なく返事をした。
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