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九回の裏、二アウト満塁。点差は一点。一打逆転の場面。
内野を守るチームメイトが集まってくる。不安や動揺を隠すために笑っているチームメイト。しかし、キャッチャーの淳だけは引きつった苦笑いを浮かべていた。
「次、言うのは?」淳が哲也に問う。
「……しっかりしろ」
答えると、メガホンを使って「しっかりしろ!」と監督の叫び声が聞こえた。
二人とも言葉を失う。前日見た夢が、まさに再現されている。
「マジだな」
「……だな」
「これって、予知夢ってやつ?」
「かもしんねー」
二人は笑った。真夏の炎天下にやられたのかもしれない。
そんなアニメみたいなことがありえるか……頭で否定しても、目の前の現実は覆らない。
今はサヨナラのピンチ。二アウト満塁。点差は一点だ。
「……夢の中で、どこに投げた? 球種は?」
「内の下、ストレート」
「……よし、外の低め、フォークで締める」
「夢を信じるのかよ?」
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