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 前日に見た夢。 あれはまさしく〝予知夢〟だ。正夢だ。正確に言うと結果は違ったが、夢で予習していたおかげで最悪の結果を免れることが出来た。  先輩たちやチームメイトにひたすらこねくり回された後、バスに入った哲也は、隣に座っている淳に話しかけた。 「なあ、もし俺が何も言ってなかったら、どんな配球してた?」  そう訊くと、少し詰まって、戸惑い、小さい声で言う。 「内の低め、ストレートのつもりだった」  予知夢の光景そのままだった。もしあのまま何も告げずに投げていたら、要求通りに投げていたら――考えただけで汗が滲んだ。  選手が全員乗り込み終わる。監督が満面の笑みで戻ってくると、 「明日は練習を休みにする! お前ら、特に、古市! お前はしっかり休め!」  突然呼ばれた名前。声が裏返りながら「は、はい!」と返事をする。  目標は全国制覇だ、と掛け声をかける監督。おう! と反応する選手たち。 「まあ、考えてもしかたねぇ。寝とけ。疲れたろ?」
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