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夜の繁華街を疾走する。
(急がなければ!)
(とにかく急がなければならない!)
今はただそれしか考えられない。
繁華街は人で賑わっていて何度も人にぶつかりそうになる。
酔っ払いのおじさんに声をかけられたが、なんて言ってるかわからない。
今はそれどころじゃない。
周りの景色など一切目に入ってこない。
ただ自分の行く先だけを見つめて全力で走る。
(そうだ!まだ間に合う!)
最後くらい…
最期くらい一緒にいよう
それが僕の何もしてやれなかった償いだ。
彼女の先が長くないという悲しみもあるが、
それよりも彼女が生きている今。
今とにかく1秒でも早く彼女に会わなければ一生後悔する。
走る足をさらに速く動かした。
全身の筋肉が悲鳴をあげていたがそんなのはお構いなしに走り続けた。
(あともう少し)
そして彼女の入院している病院に着いた。
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