市民球場の怪

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葵は幽霊少女のちえみちゃんに尋ねた。 「ちえみちゃんは、私達の試合を見たいから現れたの?また明日試合が有るんだけとも、上の応援席で見て貰えないかな?」 「・・・だ…って…ちかくで…みたい」 たどたどしい声で、主張した。 「君が現れると、試合が中断して皆が困るから、見るなら応援席で見てね」 葵は優しく語りかけたが…女の子の表情が険しく変わった。 「わたしの…かってよ…ちかくで…みたいの」 弱々しい声だが、憎しみが籠っていた。 どうしたら、この女の子を説得出来るんだろ? 「そのしろいへび、こわいから…どけて」 女の子は白蛇を見て怯え始めた。 突然何でだろうと、肩を見たら白蛇が口を大きく開けて女の子を威嚇していた。 「女の子が怯えて居るでしょう、止めなさい!」 葵は白蛇を征した。 「あの娘は危険だぞ!お前の手には負えない、改めて出直しを勧める」 白蛇は葵の扱える相手では無いから、一度帰って両親に相談するように勧めた。 葵は白蛇の言った事に理解をした。自分の実力では排除出来ない、女の子の心理を掴み、心を解放出来るのは両親に頼るしか方法は無いと思った。
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