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5位、というのは学園内で5位ということだった。
学年の中では2位で、去年はなんとも悔しい思いをした。
今年は学年1位を目指して頑張ろうかな、と思いながら教室から出ようとした、が。
「千葉」
胸まであるストレートの黒髪を揺らして、俺のことを待ち構えていたかのようにイズミが目の前に現れた。
「そんなに怖い顔しないでよう、千葉。ちょっとトーナメントに向けてチェスの手合わせをお願いしようと思っていただけだから」
イズミは俺にチェス盤を差し出した。
黙ったままでいる俺をイズミが「あそこの教室が空いてるわ」と、強引に連れていった。
先日のあのやり取りなんてすっかりなかったような態度で、俺は戸惑いながらも大人しく従っていった。
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