勝利の世界

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「さすが千葉ね、手も足も出なかったわ」 そんなことはない。俺も試合中にイズミの大胆な攻めっぷりにヒヤヒヤしていた。 「そういえば、光一もトーナメントに向けて色々策を練っているらしいわよ」 光一、という名前がイズミの口から出て、びくりと肩を揺らした。 佐藤光一(さとうこういち)。 明るい髪色に、着崩した制服。動く度にジャラジャラと音を鳴らす銀色のアクセサリー。 噂によれば、彼は出席日数が足りず留年しているらしい。つまりは、今年俺たちと同じ学年だ。 人は見た目によらず、というように彼は去年のトーナメントの優勝者だった。 授業もろくに出ずに遊びまわっているらしいが、ゲームの才能はピカイチだ。 実際彼と戦ったことがある俺は、トーナメントの上位戦で対戦した時のことを思い出し、戦慄した。
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