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「やめ…俺は別に君とこういうことがしたいわけじゃない…!」
このままだとやられる…!なんとかしないと…と、必死になって絞り出した声は震えていて、自分でも情けなくなった。
生まれたての子鹿のように小さくプルプルと震えている俺を見て萎えたのか、イズミは冷めた目で俺を見た。
パァンと乾いた音が部屋に響く。
「なんで、なんで分かってくれないのよ…!私は…………」
と、言いかけて、イズミは俺の頬を叩いた右手をゆっくりと降ろした。
「アンタなんてゲームが強くても、男としてはまるでダメね…ゲームをしているときのアンタは別人みたい。もうやってられない、少し頭を冷やせばいいわ!この万年2位が!!」
と、言って俺から離れ、トロフィー室のドアを乱暴にバタンと閉めて出て行った。
ポツンと取り残された俺は、呆然とその背中を見送るしかできなかった。
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