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頭をぶつける……!と、衝撃に備えね目を固く瞑った。しかし、俺の身体はポフンと固めのものに受け止められた。
「おーおー大丈夫かあ?体調不良ならこのまま一緒に保健室へ連れてってやるぜ」
視界に白いものが移り、身体を起こすとそれが白衣だと分かった。
「ありがとうございます、遠藤先生」
保険医の遠藤先生だった。
どうやら、中川先生と一緒に歩いていたみたいだ。この先生2人は仲が良く、一緒にいることが多いらしい(紅葉さん談)
「普通によろけただけなので」
「おう、大丈夫なら問題ねぇな」
と、言いながら懐から小さな箱を取り出し、白い棒状のものを口に咥えた遠藤先生。
「先生それなんですか」
「ああ、校内は禁煙だろ?口が寂しくてな…」
ダルそうに呟く先生の手元をよく見たら、駄菓子屋とかでお目にかかれるようなシガレットだった。
「それより、あれは何とか治らねえのか?」と、苦い顔で指差す先は紅葉さんと中川先生。
紅葉さんはちょうど中川先生に手作りしたらしいチョコレートを手渡している。
「これで中川先生はさらに美味しくなります!」とかって意味不明なことを言っているが、目はキラキラと純粋に輝いていた。
「あれは、不治の病ですから無理ですね」
意味ありげに保険医を一瞥すると、しれっと目を逸らされた。
「中川センセ、そろそろ行こうぜ」
遠藤先生が呼びかけた。俺もふと時計を見れば、もうすぐ昼休みが終わってしまう頃だった。
「は、はいそうですね」
中川先生が眺めの髪を揺らしながらこちらを振り向いた。
「お前らも早めに教室戻れよ~」
遠藤先生は手をひらひらさせて、中川先生はおどおどしながら職員室へと去って行った。
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