球技大会

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 応援席に行くと、すでに受付から戻ってきた涼子が大量のビール券を手にしていた。 「見てよ、八十本以上になったよ。これでビールかけして、さらに飲むことも出来るわよ! でかした! 八尋君」  そう言って涼子は抱き付いてくる。  こんな美女に抱き付かれるのは悪くない。  速人たちは歓声をあげ、大騒ぎとなった。  達也たちは残念ながらビールかけはお預けだろう。勝負の世界は厳しいのだ。  しかし達也らを見ると、同じように騒いでいる。  妙に思った速人は仁科を伴い、その集団に近付いてみた。  茜がいるので声をかける。 「茜たちってビール券、全滅でしょ。何で喜んでるの?」 「全部賭けろって言われたんだけどね。あたしの独断で半分ずつ賭けてたの。だからビールかけは出来るんだよ」  あっけらかんとした表情で茜は言った。  そして速人の耳に顔を近付けて、周りに聞こえないような小さな声で耳打ちする。 「だってさ、速人のことも応援したかったし。それにあなたが負けるところなんて想像できなかったんだもん」  そう言って茜は速人の頬に軽く唇を当てた。そしてすぐに輪に戻っていく。  汗をかいてるからしょっぱいだろうな。  速人は自分に対しても照れ隠しをしてそんなことを思っていた。  それを近くで眺めていた仁科は笑っている。 「まあ何て言うか、ウィンウィンってやつか」 「そうっすね。あっ、でも」 「どうした?」 「川井君が……」  川井たちのチームを見るとすべてを達也らの勝ちに賭けていたらしく意気消沈していた。 「仕方ない。川井君だけでも救出するか?」 「どうでしょう。仲間を見捨てて自分だけ来ないんじゃないすかね」 「それもそうだなあ」  そんなことを話していると、二人を呼ぶ声が聞こえた。
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