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さーて、授業も終わったあ。
流石に一日、机に座っていると疲れる。内容はちんぷんかんぷんだし。
今晩は何するんだろう?
そう思っていると由紀ちゃんが近付いてきた。
彼女は西川由紀ちゃん。
まだピッチピチの十九歳。速人君の隣に座っているのが羨ましい。
「彩ちゃん、眠そうだね」
ばれてしまった。最後の方は夢見心地で授業を聞いていたのだ。
「だってつまんないんだもん」
「また補習になっちゃうよ」
それはとても嫌だ。速人君も一緒に補習ならいいけど、彼は由紀ちゃんが採点の時にインチキをして助けてあげるので常に補習は免れている。
「補習がどうしたって?」
そう言って近付いてきたのは三上涼子ちゃん。
この人はわたしが今まで会った人の中で一番の美人。茜さんも可愛いけど、整ってるって点では涼子さんには敵わない。
一見、クールそうだが中身は全然違って男っぽい姉御肌。
わたしと彼女は最初のテストの時、仲良く一緒に補習を受けた。
涼子ちゃんはわたしより三つ年上で茜さんと同い年。
おっといけない、彼女の誕生日はまだ来てないからまだ二つだった。
涼子ちゃんと茜さんは研修所でも人気の二人。
なぜか涼子〝ちゃん〟で茜〝さん〟になってしまう。
これはわたしが速人君を好きなのと関係しているのかもしれない。
「ちゃんと聞いてないとまた補習になっちゃうよって由紀に怒られちゃった」
「別に怒ってはないですよ」
「由紀はいいよね。お隣さんが八尋君でさ」
わたしは複数の意味を込めて言った。
「本当だよね。わたしなんて隣のやつ、くそ真面目でさ」
涼子ちゃんは顔をしかめて言ったけれど、そんな顔も綺麗だ。
「そう言えば、さっき逸見さんが部屋長は残ってくれって言ってたよね」
横から落ち着いた声で言ったのは竹下久美子ちゃん。
久美子ちゃんは二十五歳だと言っていたが、とても落ち着いていて大人っぽい。
それに頭がよくてテストなんかはいつも満点だ。
わたしたちはいつも久美子ちゃんに勉強を教わっている。
この三人とわたしは同じ部屋で研修を過ごしている。
毎晩、ガールズトークに花を咲かせているけれど、速人君のことは話していない。
これからも話すつもりもない。
わたしは部屋長だったので残ることになった。
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