球技大会

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 まずは体育館でバレーボール。  速人はバレーが苦手だ。トスを上げられてもタイミングが合わない。サーブを打っても軽く打てば何とか入るが、少し力を入れるともの凄い高速サーブが体育館の反対側の壁に激突する。つまりはアウトだ。早々に引っ込み、応援にまわることにした。  三上涼子の活躍で何とか勝ち進むことができそうだった。  彼女は掛け値無しに美しい。モデルのような体型に、芸能人のように整った顔立ち。研修所内の人気ランキング第一位である。ちなみに第二位は上本茜。  茜のチームは達也が大活躍しているようだ。女性の黄色い歓声が聞こえる。達也は長身のイケメンで女性からの人気は高い。  茜も必死になってボールを拾っている。 「あれえ、八尋君でも不得意なスポーツってあるんだ?」  彩菜が速人の隣に座りながら言った。彼女はそれほど美人な訳じゃないが、常に優しく明るい女性だ。あまり運動神経には自信がないのか、バレーには出ていない。  同時に行われている卓球の会場へと速人と彩菜は向かった。  ここでは由紀が、何の偶然か川井と卓球の試合をしていた。 「由紀ちゃん、がんばれー」  彩菜が大きな声で応援する。由紀は片手を上げてそれに応えていた。 「まさか女の子相手、しかも未成年に本気出さないよなあ」  速人はわざと川井に聞こえるように大きな声で言った。  川井が苦笑する。  結局、僅差だが由紀が勝った。 「ひどいですよ、八尋さん。あそこであんなこと言われたら勝てないじゃないですか」  さほど怒っていない様子で川井が苦情を言う。  そのころ、バレーも全試合が終わったようだ。  速人らのチームは三位。達也らのチームは優勝したようだった。  バレーをしていた研修生が続々と外のグラウンドに出て行く。  卓球で勝ち進んだ由紀に激励をして速人らも外に出た。
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