12人が本棚に入れています
本棚に追加
その公園はとても小さく、住宅の隙間にポツンと存在していた。
遊具もシーソーとブランコが一つずつしかない。キャッチボールすら出来そうにない広さだった。
そこに二人の男が立っていた。一人は腕に包帯を巻き、それを肩から吊っている。一見してその筋の者とわかる身なりで、年齢は二十代半ばといったところである。
速人はその二人を見た途端に、来たことを後悔した。
本物じゃん。どうなることやら。
その二人は速人らの姿を見ると、咥えていたタバコを投げ捨てて足で踏みにじった。
「おう、随分と待ったぞ」
まだ十七時半になるまでに五分以上あるが、速人は黙っていた。
「なんだ、ぞろぞろやって来やがって。用があるのはお前だけだぞ」
腕を怪我している男が俊介に向かって言った。
「いや、その、ただの付き添いです」
しどろもどろになりながら、俊介は言う。
「まあいい。それで金は持ってきたのか? こっちは仕事が出来なくて困ってるんだからな」
「いや、それがその……」
「何だ? 用意してないのか? お前、俺らのこと舐めてるのか?」
「そんな、とんでもないですよ。ただ、二百万なんてとても」
「そんでいくら用意できたんだ? やるだけのことはやったんだろうなあ」
怪我していない方が、俊介の顔を睨み付けながら言った。そのまま自分の顔を俊介のそれの目の前まで近付ける。
「五万円……くらいなら」
「ああっ! 五万? 桁が違うぞ。兄ちゃん」
怒鳴られた俊介は下を向いてしまう。その肩を男は軽く何度も手で押した。
速人は見ていられなくなった。
「ちょっといいですか?」
男は速人の顔をチラリと見たが、無視して俊介を小突き続ける。
「二百万はちょっとやり過ぎじゃないですかね?」
無視されたが、速人は構わず話し続けた。
「関係ない奴はすっこんでろ」
怪我した方が睨みながら、速人に向かって言う。
「それともお前が払ってくれるのか?」
そんなわけねえだろうが。速人は心の中で呟く。
最初のコメントを投稿しよう!