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そこから先は両チームともなかなか点が入らなかった。
速人は次の打席もスリーベースヒットを放ったが、ホームには戻れず。
仁科はバッティングは全然駄目なようで全打席とも三振。
達也はライト前にヒットを放ったが、次のニコは投手がビビったのか、フォアボール。
次のバッターが右中間にヒットを放ったが、中継の速人がストライク返球をして達也のホーム突入を阻止した。
「だぁー、くそう。その返球、反則だろ。速人、お前引っ込めよ」
速人のせいでアウトになった達也が叫ぶ。
そうして進んだ六回の裏。ちなみにこの試合は七回までだ。
速人の長打を警戒していた守備陣の裏をかき、セーフティバントを決めた速人は内野ゴロの間に三塁に進んだ。アウトカウントはツーアウト。
速人は三塁から投手と捕手を観察する。さすがに集中力が切れてきたのかピッチャーが警戒している様子はない。キャッチャーも同じで投手に返す球が山なりになったりしていた。キャッチャーからの牽制球も無さそうだと判断する。
速人はリードを多めにとった。
ピッチャーが投球しミットにボールが収まる。そしてキャッチャーがボールを返そうとした瞬間、速人はホームに向かって走り出した。サードが叫ぶ声。
キャッチャーは慌てて投げ返すのをやめようとするが、手から離れる寸前だったので中途半端な強さでマウンドに向かってボールは転がる。
ピッチャーがすぐにそれを拾い、ホームに投げるがすでに速人はホームに向かって滑り込んでいた。
ホームスチール成功。
勝ち越した速人たちのチームはお祭り騒ぎ。
彩菜などは飛び跳ねて喜んでいる。
速人はジャージについた土をはたきながら、相手チームの方を見た。
セカンドにいる達也が速人に向かって死ねと言わんばかりの顔をしている。
応援の方にいる茜の姿を見付けた。隣にいる女性と何か話している。
ごめんな、茜。
速人は笑いながら心の中で思った。
しかし最終回、相手の先頭バッターが四球で出塁した。
そして次の打者は何と送りバントをする。
アウトは一つ取ったが、ランナーは二塁。
そしてバッターは達也にまわってきた。
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