第十六章 キシワ将軍という存在

28/28
前へ
/395ページ
次へ
 時計を見る、猶予時間終了まであと三十分。もし取りやめるならばここが限界だ、一度戦闘を本格的に始めれば引き下がれなくなる。  ――後戻りなどとうの昔に出来なくなっている、俺は前に進むことを選び続けるしかない!  全ての根源はンタカンダ大将だ、そこが折れれば求心力は一気に失われる。それは島にしても同じことだ。 「ヌル、ニャンバブエの砲撃準備だ」 「砲兵隊ヌル中尉、命令を了解致しました」  その命令で行うべきことを知る。無線指令先をフォートスター民兵団へ切り替えた。 「マサ大尉、ニャンバブエの詳細を偵察しろ」 「ダコール」  前哨地点で手をこまねくような真似は許されない。何かの罠が置かれていても不思議はない、現場で指揮を執る者がそれに留意せねば傷口が広がってしまう。 「マケンガ大佐、前衛部隊を指揮してニャンバブエを抜け。砲撃が合図だ」 「お任せください閣下。今の自分は負ける気がしません」  それが良いかどうかは別として、気合が入っているのは伝わった。圧倒的不利な状況をどうするか、島はそちらに集中することにした。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1980人が本棚に入れています
本棚に追加