第十七章 群雄の競合

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◇  ロマノフスキー大佐が取った行動、それはあまりにも乱暴で稚拙なモノだった。  何と北部より迂回させた機甲部隊を敵司令部にぶつける作戦。 「ちんたらやっている暇はない、総力戦だ!」  二千人が全て防御についているわけでは無い、だが第五司令部軍は全てが攻撃を担当した。被害は大きい、そこに目を瞑って一本錐を突き刺す。  機甲部隊が激しい反撃をものともせずに陣地内を疾走する。大火力を行使するわけにいかず、防衛側も対処に困る。その隙をついて司令部へ向けて突進した。 「退路は不要だ、勝たねばここまで来た意味など無い! アヴァンス!」  ブッフバルト少佐が力強く前進を命じる。T26E3パーシング中戦車二両を先頭にし、十二・七ミリ機銃をところかまわず乱射してまわる。  その後ろをAMX装甲車が続いて、七・六二ミリの弾丸を数百発まとめて放った。  中心部、左右を守られるようにコマンドウ装甲車とストライカー装甲車が進む。  ガンガンと外部装甲に小銃弾が直撃するが全てを跳ね返した。 「十時の方向三百に司令官旗を確認!」  フィル先任上級曹長が声を上げる。ブッフバルト少佐の部隊の先任下士官を務めている彼も興奮していた。
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