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主要な者がキガリに招待される。エーン中佐は警戒を怠らない、いつ国が裏切るとも解らないからだ。緊急脱出手段と護衛の方針を確認し式典へと臨む。
「気持ちは解るが、失礼になるから次からは控えてくれよな」
「ヤ」
国家の重鎮、高名な民間人、多くの人間が集まっている。
真新しい黒の軍服、左腕には四つ星、揃いの将校集団が絨毯を進んだ。
皆何かしらの勲章を左胸につけていた。中でも一層賑やかな装いなのが一人。大メダルをいくつもぶら下げた青年が先頭を歩いている。
「一同、大統領閣下に敬礼!」
ロマノフスキー大佐の号令で全員が最敬礼する。武人の誉れ、最高の名誉。
それは公の場で称賛を受けることだ。汚い秘密命令で功績を上げることではない、そう彼らは信じていた。
「ルワンダに与し多大な功績をあげた汝イーリヤを、議会と大統領の承認でルワンダ軍中将に任命する。同時にルワンダ・グランドクロスメダルを授与する、おめでとう中将」
先の戦功によりブニェニェジも中将に昇進していた。ルワンダ軍に大将は居ない、中将も他には十年以上前に職を退いたご老体が一人居るだけ。外様ではあるが頂点に上り詰めたのだ。
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