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「俺の家がここ、そして家を出て、霞団地の敷地を抜けて、比治山を目指して大きな通りを渡ろうとしてた。爆発は、この団地の近くの──この交番」
隆義は流石に、きゅーちゃんの事を言うのは避けた。幽霊を見たと言った所で変な顔をされる事もそうだが、恐らく誰も信じない事は明白だ。
「そして、爆発の後は……横断歩道を急いで渡って、山の南の入り口から森の中に行った」
「そう言えば、意識を取り戻した時に言ってたよね。シ式を使えって言った人がいるって」
「ん、あぁ──」
ココの指摘は、隆義からすれば口から出任せであったが、辻褄の為に押し通す事にする。
「一緒に、年配の爺さんと逃げてさ、山のここに──昔の防空壕があるって教えてくれて、入ったら奥にシ式と武器があったんだ。」
「そのお爺さん、どうなったの?」
「それが──解らないんだ」
隆義は真剣な表情のまま、床に目を落とした。
「その後、シ式に乗って山を下りて、あいつらが警官を襲ってるのを見た。バイクに乗ってる奴が〝頭蛮王(ヘッドバンキング)〟っていう暴走族の特攻服を着てたから、あいつらは新島組の奴らに間違いない。」
[新島組ですねー……。]
すぐに、あいちゃんが反応を示す。
[確かに、ツイッターに寄せられた呟きの中に、一般人に暴力を振るったヤクザが新島組と名乗っていたという情報がありますー。過去の事件を検索してみた所、地元古参の共世会という組織と抗争を起こした際に、新政会派のヤクザの中でも武闘派として、数多くの事件を起こしていますねー]
「俺が通ってる霞中は、新島の息子が好き勝手に暴れてた。学校にはいつも暴走族とヤクザが送り迎えしてたし、学校では窓は叩き割るわ不良連中が好き勝手に廊下でタバコ吸うわ爆竹鳴らすわ、滅茶苦茶だったよ。一番嫌だったのは、月に一度、俺も含めて生徒全員から上納金をカンパさせてた事。金が無い奴は、俺みたいにフルボッコだよ?」
つい、入学以来我慢してきた事を口からぶちまけて、隆義はため息をついた。
──嫌な事を思い出した──そう思わずにはいられない程に。
「少し、話を戻そう。──夕凪君、君は新島組が警察官を襲っている所を見たんだね?」
「……あぁ。助けようとしたけど、ダメだった。あっちもロボットに乗っていて、何とか倒したけど、すぐ逃げる羽目になったし」
ラウンドは、あいちゃんの方に顔を向けた。
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