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「あいちゃん、ツイッターに投稿されていたロボットの画像を」
[はぁい、表示しまーす]
「君が見た機体は、この機種で間違い無い?」
あいちゃんの顔が隠れ、その代わり、画面には街の中を走る豪攻車の姿が表示される。
渋滞の中、歩道を無理やり通っている様子だ。
「……間違いない、こいつ」
「一式機械人、豪攻車(ハオゴンチャ)だね。」
「こいつ、そんな名前だったのか……」
隆義は感心しつつ、ラウンドの方に向き直った。
「その後、君はどうやってここまで?」
「とにかく、最初はパトカーを助けようと思って、その……ハオ…なんとかを倒したけど、中の警官は助からなかった。これはヤバいと思って、森の中に隠れようと思ったんだ」
「比治山に?」
「いや、この方向にもう一つ、山があるんだ」
隆義は、比治山周辺が表示されたスマホの右下、地図の方角で言う南東の方角を示す。
ラウンドはその方向に向かって画面をスライドさせ、黄金山を表示させる。
「……この距離を移動したの?」
ココも地図を覗き込んだ。比治山から黄金山までの距離を見て驚きの表情を見せているが、隆義は説明を続ける。
「あいつら、俺が比治山に隠れたと思って、そっちの方に向かってた。俺は裏路地に入って、追っ手を一度やり過ごして黄金山に行ったんだ」
「隠れる事を考えるなら、普通は大して動かないものだからね」
「だけど、山に入る道を探すのに時間がかかって、そう──多分、路地が田の字になってる辺りの、この先で見つかったんだ。」
[横から失礼しますー。貴方はその少し前に捕捉されていたようですー]
あいちゃんの声に気付いて振り向くと、あいちゃんは自らを表示しているパソコンの画面を、ツイッターのページに切り替えていた。
[新島組の人たちも、このツイートを見たんだと思います]
「あれ? シ式だ……?」
[はい。スマートフォンからの投稿と思われます。GPSの座標が表示されていますね。恐らくこのツイートが流れた直後に、新島組は貴方が黄金山に逃走している事を把握したものと推測されます]
「撮られてたの、全然気付かなかった」
自分の知らない所で、こんな事が起きてたのか──隆義はそう思いながら目を丸くする。
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