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『貧血の薬よ、飲んでゆっくり休みなさい』
女性医師は用事で保健室を出ていった。
『……』
高史は貧血の薬を口に含み水を飲んだ。
そのコップを机の上に置き高史は生徒達に乱暴されたことを思いだし悲しくて涙が溢れた。
そこへ手を怪我した生徒が現れ泣いている高史に目を向けた。
『悲しいことでもあったのかよ』
生徒は傷の手当てをしながら高史に話しかけた。
『…別に…』
高史は手で涙を拭った。
傷の手当てを終えた生徒は高史に近づき『あんたさあその顔、やめた方が良いよ』と言って生徒は高史の唇にキスをした。
高史は生徒を押し離し『お前も男の体が目当てか』と言った。
『お前もってどういう意味ですか?』
『別に…今のは忘れてくれ…』
高史は顔をそらしうつ向いた。
『何か生徒と有ったんじゃないんですか』
『傷の手当てが終わったのなら教室に戻れよ』
『……』
生徒は高史の顎を掴み顔を向けた。
高史は驚いた顔で生徒を見つめた。
『俺さぁ先生のこと狙ってたんだよね』
『何…言って…』
高史は生徒に唇を奪われそのまま倒された。
『んん…んん…』
高史は生徒を押し離しベットからおりるとその場から逃げようとドアに近づいた。
その時、ドアが開き高宗が現れた。
『中村先生…』
『具合はもういいんですか?』
『え…はい…』
『…桑野、ここで何をしてるんだ』
高宗は桑野に目を向けた。
『体育の授業で手を怪我したから手当てをしてたんですよ、保険の先生がいなかったから、授業に戻りますよ』
桑野はちらっと高史に目を向けた。
『……』
高史は顔をそらした。
『……』
桑野は保健室を出ていった。
『俺も授業に戻ります』
『高史さん』
高宗は高史の手首を掴んだ。
『今日は早退してください』
『どうして早退しなくちゃいけないですか、薬も飲んだし大丈夫ですよ』
『貧血なんかじゃない、生徒達に乱暴されて気を失ったんだ』
『どうして…まさか…』
『俺が見たのは君が気を失って倒れていた姿だ』
『……』
高史はうつ向きながら口を開いた。
『俺が生徒達に乱暴されたのは…お前のせいだ』
高史は涙を流しながら高宗を見た。
高宗は手を伸ばし高史に触れようとしたが高史は保健室を出ていった。
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