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高史は校長室に行き校長に『暫く休ませてください』と言って校長室を出ていった。
『……』
高史は学校を出て門の所で携帯を開き吉彰に電話をかけた。
一休みをしていた吉彰は携帯を開き電話に出た。
『もしもし山本ですけど』
『もしもし吉彰さん、高史ですけど』
『どうしました…』
『早退したんです、今から店に行っても良いですか?』
『良いですよ、お待ちしてます』
『それじゃあ…』
電話を切ると高史は30分かけて店に向かった。
ー吉彰の店、ケーキ屋ー
『店長、休んでないで手伝ってくださいよ』
アルバイトの女性は階段から叫んだ。
『悪い、今行く』
携帯をテーブルの上に置くと吉彰は階段をおりて接客を始めた。
もうすぐで吉彰の店に着こうとしたとき高史に男性が声をかけてきた。
『高史?やっぱり高史じゃないか』
『え?』
高史は声をかけてきた男性に目を向けた。
『俺だよ、鈴木周二』
『周ちゃん?』
『久しぶりだな』
『本当に』
『今、用事がないなら喫茶店で話さないか』
『良いよ』
高史は周二と一緒に近くの喫茶店の中に入って行った。
高史と周二は向かい合って椅子に座り珈琲を注文した。
暫くして注文した珈琲がテーブルに届くと珈琲を飲み始めた。『仕事は何をしてんだ』
『男子校の先生』
『先生か夢が叶ったんだな、良かったな』
『……』
『元気がないな、何か悩みごとでも有るんじゃないのか』
周二は高史の手に触れた。
『言える話じゃないんだ…』
『でも悩んでるだろ』
『周ちゃん…俺…生徒達に乱暴されたんだ』
『……』
高史の告白に周二は驚き言葉を失った。
『驚くよな、男にしかも生徒達に乱暴されただなんて』
『高史…出よう』
周二は高史の腕を掴み喫茶店を出ていった。
『周ちゃんどこに行くんだよ』
『……』
『周ちゃん』
周二に腕を掴まれたまま歩く高史は周二の後ろ姿を見つめた。
『周ちゃん…』
『俺の家に行こう』
『え!何で周ちゃんの家に…』
高史は足を止め周二の足も止めた。
『理由を言えよ、何で…』
『俺、警察官なんだ…お前の力になりたい』
『周ちゃん』
道端で周二と話をしていた高史は背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
『高史さん』
『…吉彰さん…』
振り返った高史は吉彰に目を向けた。
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