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その頃、高史は新しく衣服に着替えた姿で閉まったドアの玄関の前で外の話を聞いていた。
『だから苦しんでるんだ…聖子を傷つけてしまったから』
『高史も傷ついてる』
『そうだよな、高史さんも』
吉彰が口にしたその時、玄関のドアが開き高史が現れた。
『高史さん…』
『吉彰さん、苦しんでいるなら俺たち付き合うのやめましょう…中村先生、俺は中村先生と付き合えません、ごめんなさい』
高史は玄関のドアを閉め鍵をかけた。
その日の夜、高史はベットで泣いた。
次の日の朝、高史はいつものように学校に出勤した。
『皆さん、休んですみません』
高史は席に近づき椅子に座った。
『高史先生…』
『おはようございます、中村先生』
高史は近づいてきた高宗に笑顔で挨拶をした。
『あの…』
『中村先生、授業の時間ですよ』
高史は席を立ち職員室を出ていった。
その頃、ケーキ屋の吉彰は店を開けず部屋でじっとしていた。
ー高史の教室ー
黒板に言葉を書いていると生徒が高史に声をかけた。
『先生、授業なんかやめてまたやろうぜ』
『そうだよ、やろうぜ』
『先生のエロい顔や声が忘れられなくてさぁ』
『俺もだよ』
『……』
生徒達が喋り始めイラついている高史は振り返り机を叩いた。
驚いた生徒達は静かになった。
『そんなに抱きたいなら望み通り抱かせてやるよ』
高史は生徒達の前で衣服を脱ぎ捨て全裸になった。
『冗談に決まってるだろ先生、ムキになるなよ』
『どうした井上、この前みたいにむりやり抱いたらどうだ』
高史は井上の顔を見つめながら言った。
『どうしたんだよ、今日の先生、変だぞ』
『何かあったんですか?』
生徒達は井上の席に集まり廊下から見えないように全裸の高史を隠した。
『積極的の先生もいいけど、俺はおとなしい先生の方がいいよ』
『井上…』
『何があったか知らないけど、俺たちで良かったら先生が落ち着くまで側にいるよ』
『……』
井上の言葉に高史は床に座り込み涙を流した。
井上は席から立ち高史に近づくと服を高史の体にかけた。
『松岡、先生のこと頼む』
『わかった』
『……』
泣いている高史を見ると井上は教室を出て高宗の元に向かった。
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