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『高史先生、聞いてたのか2人の話を』
『あぁ…それで高史先生は俺と吉彰に言ったよ付き合うことはできませんと』
『それで高史先生の様子がおかしかったのか』
『高史先生はショックだったと思うよ、吉彰に苦しんでると言われて…だから付き合うことができないと言ったんだよな』
高宗は高史に近づき床に座ると高史の頬に触れた。
『ふられてもまだ好きなんだろ』
『あぁ…愛してる…』
高史の頬を優しく撫でながら高宗は答えた。
『明日、日曜日だから誰もいない、この教室に吉彰さんと聖子さんを呼んで欲しいんだ』
『何をする気だ』
『気持ちを聞きたいんだ…俺たち高史先生が好きだから悲しんでほしくない』
井上の言葉で生徒達は真剣な顔で高宗を見た。
『わかった、吉彰と聖子をこの教室に連れてくる』
『……』
目を覚ました高史は体を起こし生徒達や高宗に目を向けた。
『どうして中村先生がここにいるんですか』
立ち上がりながら高史は高宗を見た。
『俺と松岡の喧嘩を止めに来たんだよ』
『あぁ、怒られて頭を叩かれたよ』
松岡は井上の話しに合わせた。
『喧嘩?覚えてないなぁ…』
『先生は気を失ってたから俺たちの殴りあいを見て』
『……』
考え込む高史に高宗が口を開いた。
『それじゃあ俺は授業に戻りますね』
『中村先生、ありがとうございました』
『……』
高宗は教室を出ていった。
『皆、授業を始めるぞ席につけ』
高史は黒板に書きながら授業を始めた。
井上は紙に明日のこと高史先生には内緒なと書きその紙を松岡に渡した。
読んだ松岡は井上にわかったと頷いた。
それから時間は過ぎ放課後になった。
『寄り道をしないで帰れよ』
高史は教室を出て職員室に行った。
ー職員室ー
『中村先生、井上と松岡の喧嘩を止めてくれてありがとうございます』
『当然のことをしただけですから』
席を立つと高宗は鞄を持って職員室を出ていった。
『何か変だな』
高史は鞄を持って職員室を出ると保健室の医師に声をかけられた。
『具合はどうですか?』
『はい、大丈夫です』
『鉄分が足らないから貧血を起こすんですよ、気を付けてくださいね』
『はい…』
高史と医師は廊下を歩きながら玄関に向かっていた。
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