甘い初恋

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『よく知ってたな、公園と運動場が繋がってるって』 『高宗が教えてくれたの、門は閉まってるから公園の中を入っていけば運動場に出るって』 『俺は教えてもらってない』 『忘れてたんでしょ』 運動場を歩きながら聖子と吉彰は教室に向かった。 その頃、教室では高宗と高史の生徒達が待っていた。 『ちゃんと言ったんだろ』 『言ったよ…心配しなくてももうすぐ来るよ』 高宗は教室を出ようとドアに近づくと井上が口を開いた。 『どこに行くんだよ』 『トイレだよ』 高宗は教室を出ていった。 『高史先生が好きになった男だろ、どんな奴かな』 『良い奴だといいな』 松岡と話をしていた井上は現れた聖子と吉彰に目を向けた。 『高宗が言ってた教室ここだな』 ドアを開け中に入ろうとした吉彰は生徒達に目を向けた。 『あの、高宗は?』 『トイレに行ってます』 『そうですか…』 『私もトイレに行ってこようかな』 聖子は教室を出ていった。 『聖子…』 『高宗』 聖子は近づいてくる高宗に駆け寄った。 『トイレの場所、教えて』 『ここを真っ直ぐ行って角にあるよ』 『ありがとう』 聖子は小走りで行った。 高宗は教室に戻り中に入ると吉彰と目があった。 『俺たちは高史先生の生徒です、ここへ来てもらったのは高史先生のことで来てもらいました』 『……』 吉彰はちらっと高宗を見た。 『井上、聖子が戻ってきたら話をしたらどうだ』 『そうですね』 井上は机の上に座った。 それから暫くして聖子がトイレから戻ってきた。 『連れの方も戻ってきたので話をします、あなたに聞きます、高史先生の好きですか、先生といて幸せですか、答えてください』 『……』 井上の質問に吉彰は黙り込んだ。 『恋人が側にいるから答えられないんですか』 松岡が口を開いた。 『私と吉彰は別れたから恋人じゃないわよ…私も良いかしら』 聖子は井上に言った。 『どうぞ…』 『私は今でもあなたが好き、高史さんのこと遊びなら私たちやり直さない…やり直してくれるなら私の手を掴んで』 聖子は吉彰の前に手を差し出した。 『ゴメン聖子、俺、本気で高史さんのこと好きなんだ、だから聖子とはやり直せない』 吉彰は聖子に頭を下げながら答えた。
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