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『わかった…あなたのこと諦める…これからは友達として付き合いましょ』
聖子は涙を堪えながら吉彰の手を握った。
吉彰は顔をあげ聖子を見つめた。
『用事があるから帰るわね』
聖子は教室を出ていった。
『井上、悪いが俺も帰る』
高宗は急いで教室を出ていった。
『これで俺のこと認めてくれるかな』
吉彰は井上に目を向けた。
『……』
『俺の気持ちを知りたかったんだろ』
『俺たちは高史先生が好きだ…高史先生の悲しい顔はみたくない…俺たちはお前を認めてやる、だから高史先生を悲しませるなよ』
『悲しませたら俺たちが許さない』
松岡と井上と他の生徒達は吉彰を見た。
『もう悲しませたりしない』
吉彰は真剣な顔で生徒達を見た。
『約束だからな』
井上は手を差し出した。
『あぁ…』
吉彰は井上の手を握った。
その後、吉彰と生徒達は教室を出て門の前で別れた。
その頃、高宗と聖子はラブホテルの部屋でベットに座って一緒に過ごしていた。
『どうして私をここに連れてきたのよ』
『泣きたいかなと思って…声を出して泣きたいんだろ』
『……』
『この部屋で大きな声で泣いても隣の部屋には聞こえないから安心しろ』
『……』
『お前が落ち着くまで側にいるから』
『…高宗…』
高宗の優しさに聖子は高宗に抱きつき声を出しながら泣いた。
高宗は優しく聖子を抱き締めた。
門の前で別れた吉彰は高史の家に向かった。
ー高史の家ー
高史はのんびりと過ごしていた。
『夕飯を買いに行かないといけないなぁ』
高史が口にしたその時、インターホンが鳴った。
『誰だろ』
高史は玄関に行きドアを開けると吉彰が立っていた。
『吉彰さん…』
『話があるんだ、今、いいかな』
『どうぞ』
高史はその場から離れた。
『お邪魔します』
中に入りあがると吉彰は置かれた座布団の上に座った。
『飲み物を持ってきますね』
『高史さん』
吉彰は高史の手首を掴んだ。
『離してください』
『離さない』
『……』
『高史さん…』
高史の手首を掴んだまま立ち上がった吉彰は高史を抱き締めた。
『離して…』
高史は離れようと吉彰の体を押した。
『もう君を悲しませたりしない、俺は君が好きなんだ』
吉彰は驚く高史の唇にキスをした。
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