甘い初恋

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唇を離し体を起こすと高史は『行ってきます』と言って吉彰の唇にキスをすると高史は鞄を持って出掛けていった。 『店を開けないとアルバイトの子やパティシエに怒られるからな』 吉彰はベットからおり衣服に着替えると玄関に行き外に出て鍵をかけた。 『鍵をどうするかな…高史さんに渡しとくか』 吉彰は学校に向かった。 ー男子校の職員室ー 『中村先生…中村先生…』 高史は高宗に何度も声をかけた。 『あ、はい…』 『校長が呼んでるそうですよ』 『わかりました』 高宗は席を立ち職員室を出ると校長室に行った。 『中村先生、悩みごとでもあるのかしら…』 『……』 女性先生の言葉に高史は高宗の席を見つめた。 その時、吉彰が職員室に現れた。 『すみません、杉山高史さんにこれを渡して欲しいんですが』 吉彰は女性先生に鍵を差し出した。 『わかりました、お名前は?』 女性先生は鍵を受け取った。 『山本吉彰といいます』 『…吉彰さん!…』 高史は席を立ち吉彰を見た。 『鍵を渡そうと思って』 『鍵?』 高史は吉彰に近づいた。 『はい…』 女性先生は高史に鍵を渡しその場を離れた。 『俺が持ってても良かったんだけど、高史さんの方が先に帰宅するだろ』 『ありがとう』 『じゃあ俺、行きます』 『行ってらっしゃい』 小声で高史が言うと吉彰はその場を離れ家に向かった。 機嫌よく席に戻る高史に先生方が集まった。 『今の人、杉山先生の恋人』 『え!…』 先生方の言葉に高史は驚いた。 その頃、校長室の高宗は校長と桑野と3人で話をしていた。 『杉山先生と恋人にはなれないと思います』 『どうしてだよ』 『彼には恋人がいるから』 『……』 桑野は言葉を失った。 『涼、杉山先生のことは諦めなさい』 『本人に確かめる、恋人がいるかどうか』 桑野は校長室を飛び出していった。 『桑野!』 『中村先生、涼を頼みます』 『どうして俺に?』 『生徒達や先生方を見ていればわかります、杉山先生に恋をしている人が…中村先生もその1人だ』 『昔はそうでした、今の俺にとって杉山先生は大事な友達です』 校長に頭を下げると高宗は校長室を出ていった。
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