甘い初恋

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『1年の頃から涼のこと思ってます』 『なぜ本人に気持ちを伝えないんだ』 『友達関係を壊したくなかったから、今まで言えなかった』 『小野田…』 『先生たちのお陰で、気持ちを伝える決心がついたよ…』 『小野田…』 『昼休みが終わるから教室に戻ります』 小野田は屋上から離れていった。 優しい風を受けながら高宗は空を見つめ『小野田と桑野の関係が壊れませんように』と言って祈った。 その後、高宗は教室に戻り授業を始めた。 ー放課後ー 『涼、話があるんだ』 『急ぎの話しか』 『あぁ、屋上に行こう』 小野田は桑野の腕を掴み教室を出ると屋上に行った。 『人に聞かれたらまずい話なのか』 『涼…杉山先生のこと諦めろよ』 『お前には関係ないだろ』 『関係あるから言ってんだよ』 『小野田?』 『1年の頃から涼のことが好きだった、今でも好きだ』 小野田は真剣な顔で桑野を見つめた。 『嘘だろ…お前が俺のこと好きだなんて』 『気持ちを伝えようと思ったきっかけは、涼が杉山先生に告白をしたときだ』 『何で黙ってたんだよ』 『良い関係が壊れると思ったから、今まで言えなかった…でも今は気持ちが良いよ』 小野田は両手を広げながら優しい風を受けた。 『俺は…』 『返事はお前の気持ちが落ち着いてからで良いから』 小野田は両手をおろし優しい微笑みで見つめた。 その瞬間、桑野はドキドキした。 『何だ今の…』 『どうした?』 『何でもない』 桑野は顔をそらした。 『バイトがあるから帰ろうか』 『…あぁ…』 桑野は階段をおりながら先を行く小野田の後ろ姿を見つめた。 そこへ高宗と高史が声をかけてきた。 『小野田、桑野、今から帰るのか』 『はい、俺はバイトがあるから』 『桑野もバイトか…』 高史は桑野に目を向けた。 『俺は違います、小野田、行くぞ』 桑野は小野田の手首を掴み階段をおりていった。 桑野の態度に驚いた高宗と高史は顔を合わせた。 『早く帰って美味しい料理でも作ったら、吉彰のために』 『中村先生…』 高宗にからかわれ高史は頬を赤らめた。 高宗は笑いながら階段をおりていくと続けて高史も階段をおりていった。
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