甘い初恋

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玄関を出て門に近づくと高宗は口を開いた。 『吉彰に言っといてください、俺と聖子は付き合うことになったと』 『……』 『高史さん、今までのことすみませんでした…それと吉彰のことよろしくお願いします』 『…はい…』 『それじゃあ』 高宗は走っていった。 高史は歩きながら『驚くだろうなぁ…』と言った。 『高史』 『……』 声をかけられ足を止めると高史は振り返った。 『周ちゃん』 高史は近づいてくるスーツ姿の周二に目を向けた。 『仕事の帰りか』 『うん、周ちゃんも?』 『俺はまだ仕事、この近くで殺人が起きたんだ』 『殺人!』 高史は驚いた。 『鈴木、行くぞ』 『はい…今度、食事でも行こうや』 『うん…じゃあ…』 『じゃあな』 周二は走っていった。 『殺人だなんて怖いな』 高史はスーパーに寄って食材を買うと家に向かった。 ー高史の家ー 高史は買ってきた食材を袋の中から取りだし料理を始めた。 『殺人が起きたのあの近くって言ってたよな、吉彰さん、大丈夫かな』 高史は簡単な料理を4品、作り皿に盛るとテーブルに運んだ。 高史は椅子に座り吉彰の帰りを待った。 ーそれから時間は過ぎ午後8時ー 『……』 待ちくたびれた高史は椅子から立ち上がりソファーに近づくと仰向けのまま眠った。 それから暫くしてケーキを持って吉彰が現れた。 『……』 吉彰はケーキをテーブルの上に置きソファーに近づいた。 『ただいま』 吉彰は眠っている高史の唇にキスをすると頬に触れた。 本気で眠っている高史は体を動かし吉彰に背を向けた。 『……』 『このまま寝かせておくか』 吉彰はテーブルに近づき椅子に座ると料理を食べ始めた。 ー午後9時ー 目を覚ました高史は体を起こした。 『先に食べましたよ』 椅子に座ったまま吉彰は高史に目を向けた。 『何で起こしてくれなかったんですか』 ソファーから立ち上がると高史はテーブルに近づき椅子に座った。 『気持ち良さそうに寝てたから』 『それ…』 『残りのケーキです』 『食べても良いですか』 『もちろん』 『頂きます』 高史は嬉しそうな顔でケーキを小皿に乗せ食べ始めた。
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