甘い初恋

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その頃、桑野はソファーに座って携帯を扱っていた。 『ばあちゃんに連絡した方が良いよな』 『友達の家に泊まるって連絡したら』 『泊まる!俺がここに!』 『遅いし夜道は危険だ、ほら着替え』 小野田は衣服を桑野に渡しキッチンに行った。 桑野は携帯で家に電話をかけ、おばあちゃんに友達の家に泊まると伝え電話を切った。 『……』 桑野は制服を脱ぎ小野田が持ってきた衣服に着替えた。 桑野はキッチンに行き料理を作っている小野田に声をかけた。 『何をしてんだ』 『俺のご飯を作ってるんだ、涼はいらないだろ』 『あぁ、俺は喫茶店で食べたから』 『沸いてるから先に風呂に入れば』 『良いのか』 『パジャマは俺の分しかないから衣服を着てね』 小野田は出来上がった料理を皿に盛りテーブルに運んだ。 『……』 桑野は無言のまま浴室に行った。 その後、桑野は衣服を脱ぎ全裸になると風呂の中に入り浸かった。 『小野田は気にしてないみたいけど、俺はドキドキが止まらないよ』 桑野はお湯に顔をつけ濡らすとため息をついた。 その頃、小野田は食事をしながら携帯を開き高史に電話をかけた。 同じ頃、高史は吉彰に寄り添って眠っていた。 『高史さん、携帯が鳴ってるよ』 吉彰は高史の体を揺らし起こした。 高史は携帯を取り開くと『もしもし…』と言った。 『遅くにすみません、小野田です』 『小野田?どうした』 『桑野のことなんですが』 『何かあったのか』 『俺の思いが桑野に届きました、俺たち付き合うことになりました』 『そうか、良かったな』 『早く先生に伝えたくて電話をしました』 暫く高史と話し電話を切ると小野田は再び食事をした。 『まだ食べてるのか』 浴室から戻ってきた桑野は椅子に座った。 『食べるか』 『お腹、空いてないからいらない』 『ちゃんと髪の毛を乾かさないと風邪を引くぞ』 小野田は桑野に近づき頭に乗せているタオルで髪の毛を拭いた。 『……』 桑野は椅子から立ち上がった。 『どうしたんだ』 『明日、学校だしもう寝る』 『俺はソファーで寝るから、涼はベットで寝て良いよ』 『わかった…お休み…』 桑野は寝室に行った。 その後、小野田は風呂に入りパジャマに着替えるとソファーに仰向けで倒れ目を閉じた。
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