甘い初恋

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『高史さん、具合はどうですか?』 『点滴のお陰で少しは良くなりました』 『それは良かったです』 『仕事は大丈夫ですか?』 『何も言わないで来たから、連絡してきますね』 椅子から立ち上がると吉彰は外に出て店に電話をかけた。 それから1時間後、点滴が終わると高史はボタンを押し看護婦を呼んだ。 『終わりましたね』 看護婦は高史の手から点滴を外しガーゼを当てた。 『血が止まるまでおさえててください』 『はい』 ガーゼをおさえながら高史が体を起こすと看護婦が口を開いた。 『薬が出てます…』 『それじゃあ…もう…』 『はい、お会計に行って薬をもらってください』 『ありがとうございました』 『お大事に』 看護婦はその場を離れていった。 電話をしに外に出ていた吉彰が『高史さん』と言って戻ってきた。 『薬が出てるんだって』 『俺が薬をもらってきます、高史さんは椅子に座って待っててください』 『はい…』 吉彰がお会計に行くと高史は点滴室を出てゴミ箱にガーゼを捨てると椅子に座った。 『……』 『高史』 『…周ちゃん!』 高史は近づいてきた周二に驚いた。 『具合は良いのか?』 『点滴を打ってもらったから大丈夫、それより俺がこの病院にいるってよくわかったな』 『近くの病院だと思って…高史、俺のせいでゴメンな』 『俺…』 『高史さん』 薬の袋を持って吉彰が戻ってきた。 『帰りましょう』 『あぁ、周ちゃん…』 椅子から立ち上がり周二に目を向ける高史にムカついた吉彰は高史の手首を掴みその場から離れていった。 『吉彰さん、どうしたんですか?』 『……』 『吉彰さん…』 『……』 吉彰は足を止め掴んでいた手を離すと高史を抱き締めた。 高史は頬を赤らめ『吉彰さん、人が見てます…それにまだ風邪が治ってないからうつりますよ』と吉彰に言った。 『人が見てても気にしない、あなたにキスしたい』 『え!…』 高史は人に見られながら吉彰に口づけをされた。 唇が離れ吉彰は『彼にもう会わないでください、お願いします』と言いながら高史を見つめた。 『周ちゃんに会うなって、周ちゃんは友達ですよ』 『……』 吉彰は高史の手首を掴んで高史の家に向かった。
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